暑さが日ごとに増してまいりましたが、皆様お変わりございませんか。今回は配偶者の税額の軽減という制度について確認していきたいと思います。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注) この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額の軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
配偶者の税額軽減を受けるための手続
(1) 税額軽減の明細を記載した相続税の申告書又は更正の請求書に戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出しなければなりません。
遺産分割協議書の写しには印鑑証明書も添付する必要があります。
(2) 相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続をする必要があります。
平成29年4月1日現在法令等(相法19の2、32、相規1の6、16)
注意点としましては、適用を受けた結果の相続税額が0円であったとしても相続税の申告が必要になる事には留意しなければなりません。また夫婦は年齢が近い事が多く、短期的に二次相続が発生する可能性があります。相続後の配偶者の生活保障としての一時的な軽減措置としては有効ではありますが、夫婦の税金総額では損をする場合があります。夫婦の資産状況、資産内容を考慮し、相続税の夫婦の合計額や現在の納税資金等を加味した上で上手に活用していきたいものです。
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